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ハマナス

今年もハマナスが、鮮やかなピンク色に染まりながら咲いています。
ハマナスは本来、浜辺に咲くといわれていますが、海から遠く離れた渋民の地でも咲いています。どなたが植えたのでしょうか?
明治40年のひと夏を、函館で過ごした石川啄木は、よく大森浜を散策したものでした。その時に啄木の目に鮮烈にハマナスの花が焼きついたのでしょう。いつしか海と共に思い出される花になっていました。
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こんなこともありました。
6月の大森浜で、啄木は友人と二人で寝ころんでいた時のこと。二人は食べ残しの大きい夏蜜柑を砂に埋めたことがありました。それについて啄木は次のように説明しています。
「南国の山に熟んだ夏蜜柑を、北海の浜の砂に埋めるとは面白いことだ。温かい砂に埋めてやると、夏蜜柑は屹度南国の山の暖かさを夢に見るかもしれない。」
「そのころの予は、然うだ、矢張若かつたのだ。今も若いがその頃はまだまだ若かつたのだ。それだけに、その頃の事を思い出すと何となく恥ずかしい。と共に懐かしい。」
(「汗に濡れつ ゝ」より)
なかなか理解できない事のように思われるかもしれませんが、海から遠い、渋民の地に咲くハマナスを見たなら、啄木の気持ちがおわかりいただけると思います。
渋民に咲くハマナスに耳を近づけてみましょう。すると、潮の香りがし、波の音が聞こえるような気がします。
啄木の言葉を借りると、「渋民のハマナスは、海を夢見ながら咲いているのだ」と言えましょう。
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